自分のなすべき務めを他人になすりつける。
古い用例のある語ではない。責任は、自分が当然しなければならない務め。転嫁は、それを転じて他人のせいにする。
「嫁」には、押しつける、なすりつける、の意がある。『史記』に「内禍(うちわざわい)を嫁して国を安(やす)んず」(国内の禍いを他の国へ押しつけ、国の安定をはかる)という記事が見える。
今日では普通、過失の責任を人のせいにする場合に用いる。『唐書(とうじょ)』(唐の歴史)に「嫁非(かひ)」という語が見えるが、これは「非を嫁す」(過失や悪事を他へなすりつける)ことで、今の用法の「責任転嫁」と同じだ。
とかく大きな過失責任は、当事者間で次々に転嫁して問えないことが多い。
|