ざんばら髪をし、足を投げ出して座る。隠者のさま。
「散髪」は、冠をかぶらず髪をざんばらにする。床屋の意味ではない。そちらの方は「理髪」という。冠をかぶらないとは、仕官しないこと、つまり隠者の姿である。『後漢書(ごかんじょ)』袁広(えんこう)の伝記に「広は散髪して世と絶ち、迹(あと)を深林に投ず」(世間から離れて深林に身を隠す)と見える。
「箕踞」は、農具の箕(み)のような形に足を投げ出すこと。礼儀に外れた座り方。「箕坐(きざ)」ともいう。
王維(おうい)の詩に「科頭(かとう)箕踞す長松の下、白眼(はくがん)にて他(か)の世上の人を看る」(松の下でざんばら髪、足を投げ出し、世の中の人を白眼(しろめ)で見る)と。科頭は散髪と同じ。世間の礼儀などにとらわれない自由な生き方を詠(うた)った。
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