乱れた髪に垢(あか)のついた顔。世間体を気にしない無頓着なさまをいう。
「蓬頭」は、よもぎのように乱れた髪。前回の散髪と同じ。「垢面」は、文字通り垢のついた顔。
4字の熟語として『顔氏家訓(がんしかくん)』(六朝(りくちょう)の顔之推(がんしすいの書)に「草〓粗衣(そうきょくそい)、蓬頭垢面」(わらじとぼろ着、乱れた髪に垢まみれの顔)と、世間体をかまわない生き方を述べている。
そもそも賢者は外見にとらわれたりせず、世の常識は無視するもの、という主張がここにある。一方、逆にこういう格好をすることにより賢者ぶる人物も出た。
ひところの旧制高校生の”蛮カラ”もこの類(たぐい)だ。わざと汚い格好をして人目を引く。青春期特有の一種の自己主張、というべきか。
(〓は”尸”に”彳喬”の合わせ文字)
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