破れた着物や帽子。転じて、身なりにかまわないさまをいう。
前回の”蛮カラ”の続き。「敝衣」は、『史記』に用例があるが、「破帽」の方は熟語としてはどこにも見えない語である。帽子ではなく履(くつ)なら、『後漢書(ごかんじょ)』(後漢の歴史)に「敝衣縄履(じょうり)」という4字の熟語が見える。「縄履」は縄で作ったくつのことで、粗末なくつを意味する。また、「破履」という語が蘇東坡の文章にある。意味は同じ。
思うに、”破れ帽子”というのは日本の近代的産物ではなかろうか。明治になり学生たちがエリートの象徴として帽子をかぶった。それを敢(あえ)てぼろぼろにして、敝(やぶ)れた着物とともに、世俗から超然としたポーズを気取ったものだ。
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