あたりかまわず声を張り上げて歌う。
これも”蛮カラ”のさま。「放歌」は、杜甫の詩に「白首放歌して須(すべか)らく酒を縦(ほしい)ままにすべし」(白髪頭をふりたてて大声で歌い、酒を思い切り飲もう)と、官軍が賊軍を追い払った知らせを喜んでいる。
「高吟」は、漢代の無名氏(むめいし)(読み人知らず)の歌に「佇立(ちょりつ)して高吟を吐く」(立ち止まって大声で歌う)という例が見られる。
放歌も高吟も心のつかえを晴らすような意味合いの語だ。「高歌放吟」と言っても同じこと。
旧制一高の寮歌に「栄華の巷(ちまた)低く見て…五寮の健児意気高し」という。青春を謳(おう)歌し自己陶酔して思い切り「放歌高吟」する。それには敝衣破帽が似合う。
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