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漢字の世界268

 

【2006.12.01】
山容水態(さんようすいたい)

山水の様子、自然の姿

 山水の様子、眺め。

 自然の姿をいう。「山水容態」を互い違いにいう互文(ごぶん)。「山紫水明」(58回や「山高水長」(108回)と同類の語。いずれも互文。

 元眞(げんじん)が白楽天に寄せた詩に「山容水態使君(しくん)知る、楼上従容(しょうよう)として万状移る」(山水の様子を長官〈使君〉の君はよく知っている、楼上でゆったりと景色が変化するのを眺めやる)と詠(うた)う。

 「容」も「態」も、姿かたちの意。

 元眞より30年後輩の杜牧はこれを下敷きにして、「使君の家は野人の居に似たり、容水態還(ま)た賞するに堪(た)う」(長官〈自分を指す〉の家は田舎の侘(わ)び住まいのようだ。雲や川の姿を眺めるのはすばらしい)と詠う。自然を愛する眼が作った言葉だ。

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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