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漢字の世界274

 

【2006.12.08】
蒲柳之質(ほりゅうのしつ)

か弱い身体の喩え

 か弱い体質。もと、自分の衰えた姿をへり下って形容した言葉。

 蒲柳は柳の一種でかわやなぎ。水辺に生える。葉が早く落ちることから身体の弱いことに喩(たと)える。

 『世説新語(せせつしんご)』に見える話。簡文(かんぶん)帝と同年の顧悦(こえつ)が髪の毛が早く白くなったのを帝(みかど)が「どうしてそんなに白いのか」と問うた。その返事に「蒲柳の姿は秋を望んで落ち、松柏の質(たち)は霜を経ていよいよ茂る」(蒲柳の姿は秋を前にいち早く落葉しますが、松柏の質は霜にあっていよいよ緑です〈帝のこと〉)と答えた。

 黒い髪の帝を松柏の緑に、白髪の自分を蒲柳の枯れたさまになぞらえたのである。この言葉は今ではもっぱら、か弱い体質をいうが、上品な気分もまつわるようだ。 

全国漢文教育学会長
石川 忠久 
 


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