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田村 雄三監督コラム〈27〉 チーム強化 特定の選手、依存しない

09/06 07:55

 今夏はチームに激しい選手の入れ替わりがあった。選手が出て行ってしまうのは監督としては痛いが、一方で仕方がないことでもある。本人の挑戦したい気持ちを尊重し「頑張ってこい」と送り出すほかない。

 新加入選手については誰しもチームの勝利のために移籍してきているから、サッカーへの熱量についてはあまり心配していない。獲得の際には人柄も含めた調査を行っている。

 だが、実際にチームになじめるかどうかは、チームに合流してみないと分からない。そこについては選手も不安に思ってチームにやって来るし、監督としても慎重な対応が必要になる。

 特にいわきは多くのストレングストレーニングやスピードトレーニングを取り入れており、慣れるのには時間がかかる。選手がそれぞれどのくらいの疲労をためているのかについては、日頃から細かく確認している。ただ扱いは平等。既存選手と同じ練習量に取り組んでもらう。それは選手が試合に出ることだけではなく、成長することも目標に置いているからだ。

 Jリーグから海外へ挑戦する選手が増えたことで、J2でも選手の移籍が活発になってきた。この動きは今後も加速するだろう。選手を引き抜かれたときのために、移籍市場にいる選手を常に確認しておくことが大切になりそうだ。

 ただ何よりも大切なのはクラブとしての強化の軸をぶらさずにいることだ。例えばDF照山颯人がJ2長崎に移籍し、DF堂鼻起暉(かずき)が新たに加わったが、照山ならロングパス、堂鼻なら後ろから攻撃を組み立てる力を生かせるような戦い方を選んできた。誰か特定の選手に依存せず、その時々でいる選手の良さを生かす―。こうした「いわきウェイ」のチーム強化を、今後も貫いていきたい。