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眞栄田郷敦&板垣李光人ら映画『ブルーピリオド』ゆかりの美術予備校で撮影敢行、現場レポート

07/20 18:39

  • 映画
(左から)眞栄田郷敦、板垣李光人、中島セナ、秋谷郁甫=映画『ブルーピリオド』(8月9日公開)(C)山口つばさ/講談社 (C)2024映画「ブルーピリオド」製作委員会

 昨年(2023年)7月中旬。映画『ブルーピリオド』(8月9日公開)の原作漫画(作:山口つばさ)に登場する予備校のモデルにもなった、都内にある本物の美術予備校、新宿美術学院(現:ena美術)。

【動画】映画『ブルーピリオド』ルームツアー<美術予備校>映像

 ここで行われたのは、主人公・矢口八虎(眞栄田郷敦)が、美大受験専門の予備校への参加を決め、講習を受けるシーンの撮影。八虎を刺激する存在となる、高橋世田介(板垣李光人)との初対面シーンも撮影された。

 窓に暗幕が施された教室に足を踏み入れると、そこには『ブルーピリオド』の世界が広がっていた。イーゼルや椅子、画材がしまわれたロッカーや棚に並んだ本などすべて、実際に予備校で使用されているものをそのまま拝借。生徒役のエキストラは実際に絵を描ける人が参加し、道具も自らのものを持参してもらった。床に残る絵の具や木炭の跡からは、絵に向き合っている人たちの苦悩や情熱など、紛れもない本物の息遣いが伝わってくる。

 一方で、八虎や世田介、三つ編みの橋田悠(秋谷郁甫)、グラデーションのヘアカラーの桑名マキ(中島セナ)らは、原作から飛び出してきたようだ。

 八虎役の眞栄田は、「いい目をしている」ことが起用の決め手となった。空っぽだった八虎が好きなものに出合って本気になるという変化を体現していく。眞栄田はワンカット撮り終えるごとに、萩原健太郎監督とディスカッション。自分のアイデアも積極的に繰り出しながらキャラクターやシーンを掘り下げていった。

 八虎と世田介が最初に言葉を交わすのは、石膏像のデッサン中。世田介は、担当教師の大葉先生(江口のりこ)に「デッサンって、見たままを描けばいいんですよね?」と質問。デッサン初心者であるとともに、道具を持っていなさそうな世田介を目にして、八虎は「これよかったら」と道具を差し出す。しかし、世田介からは「誰、お前」と言われてしまう。

 カットがかかると、萩原監督やスタッフも「八虎、かわいそう」と思わず苦笑い。肩を落とす八虎&世田介の冷たい視線を、絶妙な表情で演じ切った眞栄田と板垣の芝居に注目だ。

 現場には、絵画指導の海老澤功氏と、美術アドバイザーの川田龍氏も同席。絵を描く姿勢や鉛筆の走らせ方など細かい所作まで、萩原監督が「今の場面はどうですか?」と質問をし、違和感があればすぐに修正をしていく。眞栄田はクランクインの半年前、板垣は約3か月前から絵の練習をスタートさせたとあって、撮影時には、海老澤氏と川田氏も役者陣の絵描きとしての芝居に「まったく違和感がない」と太鼓判。

 絵の練習の際、眞栄田は監督も驚くほどの集中力を発揮し、海老澤氏が「この調子で頑張れば本当に藝大に受かるんじゃないか」というまでに上達。一方の板垣はもともと原作ファンで、とりわけ世田介が大好きだったという。この日の撮影シーンでは、鉛筆の持ち方にまで世田介の“天才らしさ”をにじませていたのも印象的。川田氏も「絶妙!」と楽しそうな笑顔を見せていた。

 生徒が描き終えた、20枚ほどのデッサンがズラリと並んだ様子も圧巻だ。それぞれの絵から、絵の上達具合、受験生としてのレベル、キャラクターの個性までわかるなど、シーンやキャラクターごとに合わせた絵が用意されている。

 眞栄田は「すごい」とやわらかな笑顔を浮かべ、生徒役のキャストたちと興味深そうに絵を眺めていたことも。最終的には、74人のアーティストが協力して、401枚もの絵をそろえたという本作。ロケ地、絵の練習に励んだキャスト陣が放つ熱気、こだわりを込めて用意された絵など、細部にわたって“本物”の迫力がみなぎっていた。

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