外国人観光客や首都圏に住む人に畳の魅力を感じてもらおうと、須賀川市の久保木畳店が5日、東京都中央区銀座2丁目に路面店「久保木畳東京」をオープンする。畳小物販売やショールーム、畳コースター作りなどのワークショップを柱に、イ草の香りや畳の品質に触れてもらうことで畳文化を国内外に伝える。
同店は江戸時代の1740年に須賀川市で創業。都内への出店は、15代目に当たる久保木史朗社長(37)が2020年の入社以来、行っている欧米訪問を軸とした商談や営業がきっかけだった。
新型コロナウイルス禍が収束して欧米訪問を再開すると、東京のインバウンド(外国人観光客)の効果をあらためて実感した。海外から「東京に店舗はないのか」「畳コースターが欲しい」などの問い合わせを受けるようになり、久保木社長は「店頭で商品を見せながら、対面で打ち合わせがしたい」と東京進出を思い立った。
今年に入って物件を巡る中で都内観光地の特徴を分析。「落ち着いてゆっくり買い物できる場所」として銀座を選んだ。売り場面積は約8坪の店だが、1階の路面店で通行人や観光客の興味を引けると考えた。
同店は畳や畳小物の製造販売、内装などを手がけている。昨年4月には須賀川市の自社工場を改装し、日本初の畳の体験型複合施設「TATAMI VILLAGE(畳ビレッジ)」をオープンさせた。
東京店では、畳小物販売や畳の商談にも応じる。久保木社長は「体験は特に需要がある。実際に手に取ってもらって、世界中の人に畳文化を発信する拠点にしたい」と意欲を語る。営業時間は午前11時~午後6時。毎週火曜日が定休日。