• X
  • facebook
  • line

大倉社長コラム〈94〉WALK TO THE DREAM 主力の移籍

07/19 08:00

◆いわきスポーツクラブ・大倉智社長

◆厚い選手層つくりたい

 天皇杯全日本選手権3回戦が10日、ハワイアンズスタジアムいわき(いわき市)で行われ、いわきFCはJ1サンフレッチェ広島と対戦した。広島がいわきに来るということ自体、以前なら考えられなかったことだと思うが、選手はレギュラーメンバーと戦えたことで自分たちの現在地を知ることができた。0―4で敗れはしたが、目指すべき目標がはっきりして逆に選手たちは前向きになれたのではないかと、試合後の選手の表情を見て思った。

 チームは現在、目標とするプレーオフ出場圏内を十分目指せる順位につけていて、昨年より進化していると感じる。一方で選手層という部分では上位数チームとは差があり、選手の充実に向けてクラブとして一歩一歩頑張っていくしかないと考えている。だが、そんな中でも選手の移籍は避けられない。シーズン中ではあるがDF照山颯人がV・ファーレン長崎へ、DF嵯峨理久がファジアーノ岡山へ、いずれもJ2チームへの移籍が決まった。一方、J3福島ユナイテッドFCからDF堂鼻起暉(かずき)が加入することになった。

 移籍の可能性は選手に対する視察があったりすると把握できるが、決まる時は数日間で急に決まる。短いサッカー人生の中で、選手が少しでも良い条件のところに行きたいと考えるのは僕も選手だったからよく分かる。ただ、選手は悪くないが、移籍の発表直前までその選手のグッズの販売などは続けなければならず、サポーターの皆さんにご迷惑をおかけした面もあった。

 いわきの選手は真面目で、ちゃんと鍛えられていると業界の中では割と注目されているため、移籍も避けられないのかもしれない。いずれにせよ、5人の交代枠を使い切ってもクオリティーが落ちない厚い選手層をつくり上げていきたい。


 おおくら・さとし 川崎市出身。早大商学部卒。現役時はJリーグの柏レイソルやジュビロ磐田などでFWで活躍。引退後はセレッソ大阪チーム統括ディレクター、湘南ベルマーレGM、社長などを歴任し、2015年12月から現職。55歳。