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【迫るインターハイ】復興感じてほしい 伝承館、請戸小訪問を企画

07/21 10:00

大会の会場で配るパンフレットを整理するスタッフ

 インターハイ男子サッカーには、出場する52チームの関係者を含め、全国から多くの来場が予想される。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興の歩みを進める浜通りの関係者は、地域経済の活性化に期待するほか、復興の現状を発信する好機と捉える。

 「サッカーだけではなく、復興などをアピールして地域を盛り上げたい」。大会県事務局の田野入清明(きよあき)事務局長(58)は期待を込める。県事務局によると、選手たちの宿泊先はいわき市が7割、双葉郡が3割となっている。来場者は選手やスタッフ、保護者らを含めて約5万人で、大会に伴う経済効果は約5億円と見込む。浜通りを中心に大きな恩恵が期待されることから、行政を中心にまちの魅力を伝える方策を練る。

 いわき観光まちづくりビューローのスタッフは、開幕まで1週間を切り、大会会場で配布するパンフレットや販売する物産品の準備に余念がない。同ビューローは、会場を中心に、いわき市内の観光施設までの所要時間を示した地図や大会の特集サイトを新たに制作。新妻康宏観光戦略室長(54)は「どれだけの人が来るのか正直分からない。サイトのアクセス数などを分析し、やれることをやって来年度につなげたい」と先を見据える。

 震災と原発事故から13年が経過する中、県は復興の現状を伝えようと、県独自の旅行施策「ホープツーリズム」を企画。Jヴィレッジを発着点に、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館や浪江町の震災遺構「請戸小」などを訪れるコースを計画しており、同館の清水一郎副館長(49)は「多くの人に足を運んでもらい、復興の様子を見てもらうとともに、防災や減災についても興味を持ってもらいたい」と願う。いわき市のいわき・ら・ら・ミュウを運営する市観光物産センターの本田和弘専務(63)も「多くの人に『常磐もの』を積極的に食べてもらい、今後の時代を担う生徒には復興の現状を知ってもらえるよう、いわきの今を伝えたい」と心待ちにする。歓迎ムードが高まる中、熱戦がもうすぐ開幕する。

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 この連載は国分利也、丹治隆宏、副島湧人、津村謡が担当しました。

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