◇第106回全国高校野球選手権福島大会・第9日(24日・あづま球場、白河グリーンスタジアム4試合)
相馬 5―3 須賀川創英館
九回表1死一、二塁。長打が出れば同点とされるピンチにも相馬のエース宝佑真(3年)は冷静だった。気迫の投球で最後の1人を空振り三振で仕留めると、マウンドで雄たけびを上げた。この日、再登板も含め6回3分の2を無安打無失点、12奪三振。圧巻の投球で32年ぶりの4強入りに貢献したが「自分の結果よりも、チームの勝利の方が大事」と、仲間と共につかんだ結果を喜んだ。
春の県大会では未完成だった「2段モーション」の投球が、6月半ばに理想の形に仕上がった。軸足に体重を乗せてためをつくることでボールの力強さやキレが増し、制球も安定した。
成果はこの日、存分に発揮された。自慢の速球を軸に相手打線を翻弄。初回を三者凡退に抑えると、三回の死球以外は六回まで相手打線を完璧に封じた。打撃も好調で、三回裏2死1塁の場面で、左中間を破る二塁打を放ち、先制点で自身を援護した。
帽子のつばの裏に自ら「他喜力(たきりょく)」と書いた。他の人を喜ばせる力という意味を込めた。「応援している人のことを思って投げていく」。感謝の気持ちを胸に最後まで全力投球する。(小山璃子)