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福島空港関連の工事入札、県職員が設計金額漏えいか

08/09 07:40

記者会見で説明する(左から)小松課長、高橋政策監、瓦吹所長=8日午後7時5分ごろ、県庁

 県が発注した福島空港の工事用道路公共工事の入札で秘密事項の設計金額を業者に漏らしたなどとして、地検郡山支部は8日、官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で福島空港事務所建設課の主査の男(50)=白河市=を在宅起訴した。また郡山区検は同日、業者に入札の参加業者名を漏らしたなどとして両罪で同事務所建設課の課長の男(55)を略式起訴した。

 県の聞き取りに被告と課長の男は、不正に情報を漏らしたことを認めているという。このほか、同支部は公契約関係競売入札妨害の罪で石川町の土木会社「志賀建設」の従業員の男(70)=古殿町=を在宅起訴。同社で役員などを務め、石川町発注の公共工事を巡る官製談合事件に絡み贈賄の罪などで起訴された男(69)=石川町、男(63)=平田村=の両被告も在宅起訴した。県警が5人を書類送検していた。

 起訴状などによると、2021年9月15日に県が入札を行った公共工事を巡り被告は設計金額、課長の男は入札参加業者名をそれぞれ被告の従業員の男らに漏らして公正な入札を妨害した。70歳、69歳、63歳の3被告は共謀し設計金額の情報などを受けた、としている。

 福島地検によると、被告の主査の男、課長の男は空港事務所内で被告の従業員の男に情報を伝えていたとみられる。県の聞き取りに被告の主査の男、課長の男は互いに情報を漏らしていたことは知らなかったと話しているという。

 福島地検は、被告らが業者側に情報を漏らした経緯や金銭の授受がなかったかなどを捜査する。

 県発注公共工事の入札を巡って県職員が起訴されたのは昨年6月以来。県中流域下水道建設事務所の建設課主任主査(当時)が受託収賄と公契約関係競売入札妨害の罪で起訴された。

 付箋に金額記載か

 石川町発注の贈収賄事件は、県職員の汚職事件にまで波及した。官製談合防止法違反と公契約関係競売入札妨害の罪で在宅起訴された福島空港事務所建設課主査の被告の男と、略式起訴された同事務所建設課の課長の男は、石川町の事件で逮捕、起訴された「志賀建設」の元社員らに工事用道路の入札情報を漏らしたとされる。県は8日夜、県庁で記者会見し、被告、課長の男からの聴取内容を明かした。

 県によると、入札には志賀建設を含めて4社が参加し、同社が4455万円で落札した。落札率は90.84%。下回ると適正な工事をできるか調査が入る「調査基準価格」を約9万2000円上回る数字だった。福島地検は今回の事件について「石川町の事件とは関係ない」としている。

 県の聞き取りに対し、被告は志賀建設側から設計金額を教えるように求められ、金額を付箋に記載して被告の男に渡したとし、「工事が途中で大規模になり、工期内にできるか分からなかった。志賀建設なら空港の維持管理業務に精通し、効率的に工事できると思った」と説明した。

 課長の男は「漏らした明確な理由は記憶があいまい」としながら、同事務所の机の上にあった参加業者の名簿を被告の従業員の男に見せたか、または見られた旨の説明をしている。

 県によると、被告は設計金額、課長の男は設計金額と入札参加業者を知ることができる立場だった。上司と部下の関係だったが当時は新型コロナウイルス禍で一緒に勤務することはなく、互いが入札情報を漏らしていることは知らなかったと話しているという。

 2人とも、この工事以外に入札情報を漏らしたことはなく、見返りは受けていないとも説明。県は2日にそれぞれから、取り調べを受けているとの報告があったとしている。

 県によると、志賀建設は空港内の草刈りや雪かきを委託されている「いしかわ施設敷地管理事業協同組合」に所属。関係者によると、被告の従業員の男は組合所属の別の会社で空港の仕事を担当していたが、志賀建設が組合の幹事社を務めることになってから転職した。

 「法令順守を徹底」

 記者会見した県土木部の高橋和司政策監は「このような不祥事を二度と起こすことのないよう職員に対する法令順守の徹底を図り、県民の皆さまの信頼回復に努める」と述べた。瓦吹肇福島空港事務所長、小松利顕土木総務課長が同席した。

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