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老舗「藪内ビル」がリニューアル 市街地活性へ「化学変化起こしたい」

08/10 09:20

「ビル自体を小さなまちにして化学変化を起こしたい」と語る藪内さん

 福島市上町の県庁通りに建つ老舗ビル「藪内ビル」が改装を経て「ノノトリビル」として生まれ変わった。ビルの新たなオーナーとなったのは近くで眼鏡店を経営する藪内義久さん(45)。9日にはテナント第1号として生花店が開店した。藪内さんは「さまざまな店が入るビル自体を小さなまちにして、活性化につながる『化学変化』を起こしたい」と奮闘する。

 築約60年のビルは地上4階、地下1階。「ノノトリ」は野鳥を意味し「たくさんの人やテナントが集まる拠点にしたい」との思いを込めた。1階に生花店「bloom(ブルーム)」が移転オープンしたほか、今後アパレル店、カフェなどが開店を予定。チャレンジショップの出店を想定したスペースも備えたという。

 「チェーン店ではなく、まちの個性で宝でもある福島ならではの小さな店が集まる拠点にしたい」。県庁通りを挟んだ向かい側で代々続く眼鏡店「オプティカルヤブウチ」を経営する藪内さんはこれまで、同店が入る「ニューヤブウチビル」に食堂やレコード店などのテナントを誘致。週末には敷地内でイベントを企画するなど、にぎわい創出への「起爆剤」を仕掛けてきた。

 ただ、JR福島駅東口の再開発事業が難航するなど、市街地の活性化へは厳しい現状が続く。そんな中、さらに自らの手でまちづくりを進めたいという思いが強まった。「次世代を担う若者におもしろいと思ってもらえるような拠点を広げたい」。昨年11月にビルを購入し、改修やテナントとの出店交渉を進めてきた。

 県庁通りでは近年、新規出店が相次いでおり、6月にはビルが隣接する老舗文具店の文化堂が新ビルを開店。通り一体となった回遊性の向上が期待されている。「まち自体に魅力が出てくれば、自然と活気は戻ってくるはず」。通りが人であふれる将来を思い描きながら、まちづくりを進めていく。(多勢ひかる)

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