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石破茂氏インタビュー 人口流出に向き合う、デブリ採取前倒しは可能

09/12 08:45

「人口流出の原因に答えを出さなければならない」と語る石破氏=11日午後、会津若松市

 自民党総裁選に立候補を表明している石破茂元幹事長は11日、会津若松市で福島民友新聞社のインタビューに応じた。初代地方創生担当相の経験を踏まえ、地方の人口流出について「『女性に選ばれる地方とは何だろう』と集中して議論したことがない。政府として答えを出さなければならない」と述べ、課題に向き合う姿勢を示した。(聞き手・編集局長 丹野孝典)

 ―東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から13年半が経過した。今後、復興をどう進めるか。
 「大勢の努力で復興は着実に進みつつあるが、原発事故の対応がまだ完全にできていない。帰還がずいぶん進んできたが、帰りたくない、帰りたいけど帰れないという方もいる。できるだけ希望がかなう形で元の町、元のにぎわいが戻るように、被災者の方の思いが完全にかなえられる体制をつくるために政府としてさらに地元と協力しながら努力したい」

 ―デブリ(溶け落ちた核燃料)の試験的取り出しが始まった。廃炉は息の長い作業だが、どう考える。
 「時代の進歩とともにデブリの取り出しも加速することが可能だと思っている。無人化の技術を進めることでデブリの取り出しが早く実現し、廃炉が予定よりも早くできる。それは原子力政策を進めてきた政府の責任と思っている。前倒しは可能だと思っている」

 ―地方の少子高齢化が課題となっている。人口流出をどう食い止めるか。
 「特に若年層が県外に出て行ったきり帰ってこないのは福島に限らず、地方共通の課題だ。例えば会津若松市には会津大が設立され、ここでなければできない学問というものを求めて県外から人が来る、これは一つの好事例。人口流出は全国共通の課題なので、流出していく若い人たちも含めて答えを出すための会議体をつくりたい」

 ―本県の人口流出の特徴として避難者が戻ってこないことがある。
 「福島でなければ体験できないこと、福島でなければ味わえないものがたくさんあるはず。数多くある地方から福島を選ぶ、あるいは帰りたいというニーズはあるはず。なぜ帰れないか。仕事はあるのか、医療は十分受けられるのか、東京に家を建てていたらその家はどうなるのか、そういう理由を一つ一つつぶしていく必要がある」

 ―本県の農業再生の道筋をどう考えるか。
 「風評の払拭はさらに努力しないといけない。そして、会津のコメはおいしいのだ、食味でいってもトップクラスなのだと、おいしい会津米、おいしい福島米をさらに広めていく必要がある。農林水産相の頃からコメの需要拡大、輸出拡大を考えてきた。需要拡大はどうせできないと諦めてはいけない。日本のコメは世界にニーズがある。農政は抜本的な転換が必要だと思っている」

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