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塩田被告「協賛だと思っていた」 物品供与、賄賂と思わず 石川町官製談合初公判

09/19 08:50

初公判に臨む前石川町長の塩田被告(左)のイラスト(県北支社・小幡あみ)

 現職町長の逮捕から約5カ月。明らかになったのは、町議、県議、町長と長く政治の道を歩んだ人物の規範意識の低さだった。地裁郡山支部で18日に開かれた、前石川町長の塩田金次郎被告(76)=同町形見字道橋=が官製談合防止法違反や収賄の罪を問われた初公判。塩田被告は缶ビールなどの供与を受けたことについて「後援会の会合や会社のイベントへの『協賛』だと思っていた。賄賂とはあまり考えていなかった」と述べた。

 町長時代と変わらないスーツ姿で入廷した塩田被告は裁判官、検察官、傍聴席にそれぞれ頭を下げ、被告人席に着いた。自治体のトップでありながら、公平公正に欠ける行為を繰り返したとされることについて「勉強不足と自分の身勝手な考え方があった」との弁明を繰り返した。

 検察側の冒頭陳述によると、塩田被告が初めて設計額を漏らしたのは2019年6月に行われた入札。土木会社「志賀建設」の元顧問で無職関根徳夫被告(69)=同町字境ノ内=と元役員でコンサルタント業添田保雄被告(63)=平田村中倉字見上=から依頼を受けて教示した。少なくとも7回にわたり、教示したという。県議時代に添田被告の父に地区の後援会長を務めてもらったことなどを理由に挙げ「恩義があり、断り切れなかった」とした。

 塩田被告はもう一つの動機として「地元の業者が(契約を)取って元気になり、町が元気になればいいと思った」とも語った。

 ただ、町発注の工事は指名競争入札。町内の業者のみが参加する入札がほとんどで、検察から「設計額を教えなくても町内の業者が落札する」と指摘されると、「その通りです」と認めた。ほかにも取り調べの際と供述が異なることを追及され、言葉に窮したことが複数回あった。

 20年2月からは添田被告に働きかけ、品物や個数を指定してビールなどの供与を受けるようになった。「後援会の会合の経費が安くなると思った」。会合に瓶ビールを提供された時には志賀建設側に礼状を送り、自身が社長を務めていた塩田工業の社員旅行では、志賀建設側から受けた缶ビールを「志賀建設からの協賛」と社員に紹介したことも明らかにされた。

 一連の行為が町民の信頼を損ねる可能性については「考えなかったと思います」と答えた塩田被告。最後は「大変、大変申し訳ありません」と謝罪し、法廷を後にした。

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