義足の中学生ランナー、仲間と共に歩んだ5キロ 円谷マラソン完走

10/21 08:30

ゴール後に仲間に囲まれる宗像さん(中央)

 「義足の中学生ランナー」が古里の須賀川路で確かな一歩を踏み出した。病気のため右足が義足となった須賀川市の中学2年生の宗像謙信さん(14)が20日、同市で開かれた第42回円谷幸吉メモリアルマラソン大会の5キロ中学男子の部に出場し、コースを歩き切った。仲間と手をつなぎ、1時間2分59秒のタイムでフィニッシュした宗像さんは「一度も休まずゴールできて、うれしかった」と充実の表情を浮かべた。

 バスケットボールと陸上の練習に打ち込んでいた宗像さんは昨年夏、突然の病に倒れ、今年1月に義足となった。「走ることが大好き。また走りたい」。宗像さんは治療を受ける福島医大に生活の拠点を移すと、つらい治療やリハビリに励んできた。周囲の支えもあり、松葉づえを使って6月に三春町で開かれたさくら湖マラソン大会に挑んだ。

 その後は地元で開かれる円谷マラソン大会を目標に仲間と練習を重ね、さくら湖マラソン大会での記録を20分近く縮めた。宗像さんは義足で一歩ずつ地面を踏みしめて歩を進め「仲間や沿道の応援がなかったら完走できなかった。力になった」と振り返った。

 宗像さんの挑戦には、須賀川一中時代の同級生や両親、地元の円谷ランナーズクラブ、医師団らでつくる「チーム謙信」の後押しがあった。同級生で須賀川一中2年の三浦香愛(かな)さんと黒田悠月さんは「宗像さんとまた一緒に走りたい」との思いから、競技用義足を作ろうと「仲間とまた共に走ろう!プロジェクト」を7月に立ち上げ、インターネット上で資金調達を図るクラウドファンディング(CF)を始めた。2人の思いに全国各地から反響があり、目標額の300万円を超える442万1710円が寄せられた。現在は寄付金を元に、競技用義足を制作中という。

 宗像さんとともにゴールした三浦さんと黒田さんは「一緒に練習していた頃を思い出した。感動とうれしさでいっぱい」と声を弾ませた。宗像さんは「競技用義足で早くみんなと走りたい。来年も円谷マラソンに出たい」と次の目標に向かって前を見据えた。(高橋由佳)

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