東京電力は25日、中断している福島第1原発2号機の溶け落ちた核燃料(デブリ)の試験的取り出し作業を28日午前に再開すると発表した。中断原因となった取り出し装置のカメラは交換を終えており、25日に行った最終確認で再開の準備が整ったと判断した。早ければ11月前半のデブリ回収を目指す。
取り出し作業は、装置の先端付近にあったカメラ2台の映像が遠隔で確認できなくなったため9月17日に中断した。東電はカメラの交換と故障原因について調査を進めてきたが、現時点で原因の特定はできていない。ただカメラの映像が再び確認できる状態になったことから、取り出しを優先した形だ。
東電は当初、作業開始から取り出しまでに2週間程度かかるとしていたが、作業を一度経験したことなどを理由に、再開後は取り出し完了までの作業時間を短縮できると見込んでいる。
試験的取り出しは8月22日に開始する予定だったが、準備作業中のミスが発覚して同日朝に中断した。東電は原因究明や再発防止対策を講じ、約3週間後に作業を再開した。当初は2021年に着手する計画だったが、取り出し方法の変更などで着手を3度延期していた。原発事故のデブリは1~3号機に約880トンあると推計されている。