「駄目だ」 仕事場を何度訪ねても師匠は首を縦に振らなかった。実際に会った刀工宮入行平は想像をはるかに超えて職人気質の怖い人だった。 私が勤めたのは長野県の自動車部品メーカー。師匠の仕事場は電車で2時間余り離れていたが、憧れの人に会えると思うと気にならなかった。入社後初の休みに師匠を訪ねた。 「弟子になりたいの?」 到着すると、師匠の奥さんが声を掛けてくれた。奥さんに促され、恐る恐る師匠に弟子入り...
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