取り返しのつかない失敗を許せるかどうか。それが人の度量を決めるのだろう。 師匠・宮入行平の下で修業を始めてから3年目。私はとんでもないミスを犯した。 師匠、兄弟子と焼き入れを終えた刀3本の仕上げをしていると、1本の「樋掻(ひか)き」を言い付かった。樋掻きは刀身を貫く稜線(りょうせん)「鎬(しのぎ)」の峰側に溝を彫る工程。師匠は気に入った刀に溝を2本入れた。「二筋樋(ふたすじひ)」といい、師匠が打...
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