【2】その時、時間を超越した 男子三段跳び日本記録保持者・山下訓史

01/07 16:17

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17メートル15の日本記録を樹立した時の私。記録は破られるためにあり、五輪イヤーの今年はそろそろ新しい記録が生まれる期待がある

 その時、私は時間を超越していた。  助走路で構えた瞬間、何かに吸い込まれるように体が動き始めた。走り始めても苦しさ、衝撃を感じない。気付いたら着地していた。  何かいろいろな力が体にかかる負荷を軽くしてくれる感覚。私は「はねる」ことを意識して跳んでいたが、その時はアニメの一場面のように雲の上をふわりふわりと弾んでいるようで、1秒が2秒にも感じられた。  それが1986(昭和61)年6月1日、日本...

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