病状が回復をみない中、1年、2年と過ぎていった。そんなある日、主治医の先生が新聞の切り抜きを持ってきた。 「あなたより、よっぽど重症な人だよ。あなたにも作れるだろう。あなたには右手があるじゃないか」。そこには、全身まひで寝たきりの女性が短歌を作っているという記事が載っていた。 先生の言葉は、私に高校時代の記憶をよみがえらせた。石川啄木の短歌の読後感を書くテストだった。めったに褒められたことの...
この記事は会員専用記事です
残り550文字(全文750文字)
続きを読むには「みんゆうプラス」の会員登録もしくは
「福島民友新聞購読」の申し込みが必要です。