【6】書き続け、同志と出会う エッセイスト・大石邦子

02/13 08:30

  • 有料記事
入院すると、同級生たちはすぐに私に寄り添ってくれた。当番を決めて、毎日誰かが必ず見舞う仕組みまでつくってくれた

 私の手記「白き径(みち)」が書籍化され、手元に届いたのは、1968(昭和43)年9月末のことだった。本の表紙には「この生命(いのち)ある限り」とタイトルが記されていた。  「地方にいる寝たきりの、無名の人間の本など読む人がいるのだろうか」。そう思っていた。だが、初版本はたちまち売れ切れ、増刷が間に合わなかったという。後で知ったのだが、入院中の私を支え続けてくれた同級生が、本を抱えて会津若松のまち...

この記事をSNSで伝える:

  • X
  • facebook
  • line