私は晩年の母と二人で暮らした。その頃の母は、時折おかしなことを言い出した。50年も前に亡くなった友人が突然現れたり、抱かせてもらった赤ちゃんを、幼い頃の長男だと思い込んで名を呼んだりする。 母がおかしくなるのは、ほかにも私が不機嫌になったり、無視したりしたときだった。そんなとき、母はベッドに正座してアルバムをめくっていた。みんなに頼りにされていた「母の時代」の写真だった。母を追い詰めているのは...
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