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「大切な物」…あの人へ いわき平薄磯、津波遺留品おたき上げ

2025/03/12 09:20

焼却炉でおたき上げされる津波遺留品=いわき市平薄磯地区
ランドセルや位牌などの津波遺留品

 いわき市平薄磯地区では、持ち主に返還できなかった「津波遺留品」がおたき上げされ、市民らが手を合わせた。鈴木幸長区長(72)は「遺留品の多くは亡くなった人のものと思って臨んだ。これで持ち主の元へお返しできたと思う。復興への一つの区切りがついた。これからは住民の交流を進めていきたい」と話した。

 市が震災後に沿岸部で回収された物品について、返還作業を進めていたが、今年1~2月の展示を最後に遺留品約5千点の返還を断念した。慰霊法要に合わせておたき上げが企画された。修徳院(しゅとくいん)の敷地内にある焼却炉で、ランドセルや豊間小中の卒業記念文集、位牌(いはい)、写真など数点を焼いた。

 参列した政井ひとみさん(71)は「(遺留品の処分は)いつかはやらないといけなかったこと。地域住民の前でできて良かったと思う」と話した。

 津波遺留品の返還は2011年に始まった。22年からはいわき震災伝承みらい館が展示形式で続けてきた。しかし、月日の経過とともに遺留品の多くが劣化したことで返還を断念した。今後処分が進む見通しだ。市によると、アルバムの写真などについて可能な限り画像データとして保存した。同館で閲覧やデータ提供を受け付けるという。

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