13日午前6時35分ごろ、南会津町田部の高齢者介護施設で、男性職員から「施設にクマが侵入してきた」と110番通報があった。南会津署によると、体長約1メートルのクマが1階共有スペースの窓ガラスを突き破って侵入し、立ち去っていった。入所者は居室に鍵をかけて待機し、けが人はいなかった。
同施設によると、施設は2階建て。同日には6人が入居していたが、起床時間前だったため、テーブルやいすが置いてある共有スペースにはいなかった。当直の男性職員1人が介護準備のため1階で窓の方を見ると、クマと目が合い、窓に体当たりして侵入してきたのを目撃したという。
男性職員は居室に逃げる際、入居者に「部屋から出ないで」と大声で指示した。クマのものとみられる足跡や血などの状況から、1階の居室や浴室付近を10分程度うろついていたとみられるという。クマは最後には、玄関の窓ガラスを割って立ち去った。
施設管理運営担当の男性職員(45)は「建物の裏手には電気柵を設けていたが、クマが侵入してきて恐ろしい。利用者もショックを受けているので、心のケアに努めたい」と声を落とした。
現場は南会津高から南に約1キロの山あいで、付近に民家は少ない。同署は現場付近の警戒を強化している。町は防災行政無線で注意喚起したほか、現場にクマわなを新たに設けた。