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物価高対策、復興に関心 自民総裁選告示、福島県内農家「コメ作り支援必要」

2025/09/23 08:40

稲刈りをする農家。総裁選の行方を注視している=会津若松市

 自民党総裁選が22日告示され、立候補した5氏による論戦が始まった。物価高やコメの価格高騰、東日本大震災からの復興など、福島県が抱える課題は多い。「議論を深めて暮らしやすい世の中にしてほしい」。県民から切実な声が聞かれる。

 「クーポンを使ったり、安くなっている時を狙って買い物をしたりしている」。福島市で夫と娘と暮らすパート従業員の女性(50)は明かす。買い物のたびに、スーパーに並ぶ商品の値段が上がっていることを実感。日々の生活に欠かせない食料品などの「消費税の在り方について議論してほしい」と願う。

 コメを栽培している会津美里町の農業生産法人で社長を務める男性(50)は「コメの値段が上がることはうれしいが、最も重要なのは生産者と消費者の両者にメリットがある持続可能な農業だ」と強調。「今後も継続してコメ作りができる環境づくりに向け、手厚い支援が必要だ」と注文を付ける。

 企業経営者も悩みは深い。郡山市の製造会社社長の男性(35)は「材料費の高騰に伴う価格転嫁ができない」という。トランプ米政権の関税政策に伴って輸出案件が減り、人材不足にも直面。「何重苦にもなっている。外交や人材活性化などの政策を進めてもらいたい」と訴える。

 震災からの復興も途上だ。東京電力福島第1原発事故に伴う県内の除染で出た土壌を再生利用する取り組みは始まったが、県外最終処分の行方は見通せない。除染土壌などを保管する中間貯蔵が立地する大熊町の男性(75)は「復興をしっかり推し進め、最終処分に向けた機運が高まるよう、新総裁には先導してもらいたい」と話す。

 浜通りでは宇宙産業の集積も進む。南相馬市でロケット発射支援などに取り組む宇宙関連企業社長の男性(34)は「福島の復興や日本の経済成長に寄与する宇宙産業の取り組みが加速することを期待したい」と求めた。

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