「鉄の女」を目標に、三度目の正直をものにした。女性として初めて自民党総裁選を制し、高市早苗前経済安全保障担当相(64)は「不安を希望に変える」と議員らを前に訴えた。4日夜、党本部の総裁室にある椅子に座り「来月で立党70周年を迎える中で女性総裁が初めて誕生した。自民の景色が少し変わる」と感慨深げに記者団に語った。
県民からは、高市氏の手腕への期待とともに、物価高や本県復興など直面する課題の早期解決を求める声が上がった。
「政策に共感していた。経験が豊富な方だと思うので、日本を良い方向へ導いてほしい」。いわき市の会社員宮内友理江さん(35)は初の女性総裁の手腕に期待をにじませる。宮内さんは子育て中で「女性でもキャリアを気にせず働け、子育てにも取り組むことが可能になればいい」と望んだ。
喫緊の課題の一つが長引く物価高への対応だ。西郷村で3人の子どもを育てる会社員遠藤瑞生さん(29)は「給与が増えても税金が上がり、手取りが減ってしまう。少子化の今こそ現役世代の暮らしが豊かになる施策を望む」と求めた。会津美里町の会社員斎藤喬太さん(44)はガソリンの暫定税率廃止を期待しており「大変助かるので、早急に実現してほしい」と語った。
少数与党下でいかに政策を前に進めるか、高市氏のかじ取りが試される。県女性団体連絡協議会長の塩田尚子さん(72)=本宮市=は「『女性だから』ではなく、どのような政策を実行するのかを注目したい」と指摘。高市氏は選択的夫婦別姓の導入に否定的な立場で「時代や風潮が変わったからこそ慎重に審議を続けるべきだ」と強調した。郡山市の税理士蒲生洋平さん(41)も政策を注視しており「これまでの発言も踏まえて党内をどう結束させていくか、野党とどのように連携を図っていくのかもしっかりと見ていきたい」と話した。
高市氏は党政調会長時代の2013年6月、東京電力福島第1原発事故で死者は出ていないと発言し、原発再稼働に意欲を示した経緯がある。復興への姿勢が問われる中、除染で出た土壌などの県外最終処分へ具体策の進展が急がれる。大熊町の中間貯蔵施設の地権者で「30年中間貯蔵施設地権者会」会長を務める門馬好春さん(68)は「廃炉や処分場の選定など先送りされている課題ばかりだ。県外最終処分の約束を果たすために多様な意見を取り入れて熟議し、現実的な取り組みを見極め、実行に移してもらいたい」と注文した。