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福島県文化功労賞に鬼多見賢さん(猪苗代)、佐藤伝一さん(伊達)

2025/10/07 08:40

猪苗代湖の環境保全に長年にわたり尽力し続ける鬼多見さん
選手、指導者として本県の馬術競技を先導してきた佐藤さん

 福島県は、本県文化の向上に大きく貢献した県民をたたえる県文化功労賞に、教育部門社会教育分野から県環境アドバイザーの鬼多見賢さん(78)=猪苗代町=と、体育部門スポーツ分野から県馬術連盟顧問の佐藤伝一さん(88)=伊達市=を選んだ。県が6日、発表した。

 鬼多見さんは、自然環境保護の専門家として県自然保護指導員や県川の案内人などに従事。小学生対象の学習会などで若年層への環境教育に尽力している。

 さらに代表を務める「猪苗代湖の自然を守る会」では、住民や企業、小中学生や高校生ら多くのボランティアと連携、猪苗代湖に繁茂するヒシの回収活動を続けるなど、地域の環境保全に貢献している。

 佐藤さんは1964年東京五輪に出場。国民体育大会には25回連続で出場し、13度の優勝を果たした。

 95年のふくしま国体では、強化委員長として優秀な競技馬の確保や強化選手の県内選抜、指導体制の確立に尽力し本県馬術競技の3度目の総合優勝と大会の成功に貢献。日本馬術連盟副会長を務めるなど、日本馬術競技界を代表する選手・指導者として活躍した。

 表彰式は「文化の日」の11月3日、福島市の杉妻会館で行われる。

 鬼多見賢さん、猪苗代湖保全教育にも力 

 「苦労したかいがあった。一緒に活動してくれた仲間に感謝したい」と喜ぶ。

 猪苗代湖北岸に農家の長男として生まれた。10代から50年以上続けている湖畔でのごみ拾いが活動の原点。2000年に妻と2人で「猪苗代湖の自然を守る会」を発足させ、その後の環境美化活動には地元企業の社員や若者がボランティアで加わるようになった。

 渡り鳥の調査も長年続け、地域から「白鳥おじさん」として親しまれる。「なぜそれほど湖に足を運ぶのかとよく聞かれるが、私たちを育んでくれた湖に誇りを持っているから。湖を眺めているだけで心が癒やされる」と話す。

 子どもたちを対象にした環境教育にも活動の幅を広げ、近年は町外の学校や団体からも学習会開催の依頼が相次いでいる。「今後も会員と一緒に体力が続く限り活動を続けていきたい」と情熱を燃やす。

 佐藤伝一さん、馬術発展へ環境整備奔走 

 「職場や馬術連盟役員など多くの協力があった」と感謝の思いを新たにする。

 実家は家畜商で、幼少期から馬に親しんでいた。福島農蚕高(現福島明成高)入学後に馬術を始め、1年生で国民体育大会に一般の部で出場、8位入賞を果たした。国体には監督兼任も含め25年連続で出場し史上初の3種目制覇など13度の優勝、1964年の東京五輪で日本代表入りした。

 「馬事公苑の開業など環境整備が進められた。期待に応えたかった」。95年の「ふくしま国体」に向け、強化委員長として競技馬の確保や強化選手の選抜などに尽力し、本県3度目の総合優勝に貢献した。

 県職員として家畜の改良などに取り組み、退職後は獣医師として活動。県馬術連盟会長や日本馬術連盟副会長を歴任した。現在は県馬術連盟顧問として「本県馬術のさらなる発展を期待したい」と後進を見守る。

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