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高市首相来県、県外最終処分「道筋示す」 工程の具体化加速へ

2025/12/03 07:30

東京電力福島第1原発を視察する高市首相(左から2人目)=2日午後(代表撮影)

 高市早苗首相は2日、東京電力福島第1原発事故の除染で出た土壌の県外最終処分を巡り、実現に向けた具体的工程が示されていない2030年以降について「高市内閣として段階的に道筋を示したい」と述べ、工程の具体化を加速させる考えを示した。30年以降の工程の明示については内堀雅雄知事や中間貯蔵施設が立地する双葉、大熊両町長などが強く求めていた。

 高市首相は、10月の就任後初めて福島第1原発などを視察。原発内で内堀知事との面会後、記者団の取材に語った。法律に明記されている45年3月までに県外で最終処分する方針についても「国としての約束」と強調した。

 政府が今年8月に決定した県外最終処分実現に向けた工程表では、30年ごろに処分候補地選定に向けた調査に着手し、35年をめどに候補地を選定する方針を明記した。

 ただ、当面5年間の時間軸を示すにとどまり、期限までの最終処分実現の全体像は不透明なままとなっていた。

 工程表について内堀知事は、県外最終処分実現に向けた一定の前進と評価する一方「国の約束を果たす担保になっていると実感できるまでには至っていない」とし、より具体的な工程の明示を求めていた。

 高市首相は、放射性物質濃度が比較的低い土壌を公共工事などに活用する再生利用についても触れ「復興再生土の利用によって最終処分の量を減らしていくことが重要」と述べ、再利用の安全性などを広報していく考えも示した。

 高市首相は福島第1原発のほか、大熊町の中間貯蔵施設や双葉町の帰還困難区域にある住宅、農地なども視察。原発の廃炉に向けては「51年までの廃止措置完了に向けて安全確保を最優先に、地元の理解を得ながら取り組むように東電を主導し、国も前面に立って最後まで責任を持って取り組む」とした。

 帰還困難区域については「20年代をかけて、帰還意向のある住民が全員帰還できるように、除染やインフラ整備などの避難指示解除に向けた取り組みを進める」と語った。

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