配送を委託した運送業者に対し、契約で定めた時間を超えて働いた分の料金を支払わなかったのは独禁法違反(不公正な取引方法)に当たる恐れがあるとして、公正取引委員会が近く、オフィス家具販売大手のイトーキ(東京都中央区)に警告を出す方針を固めたことが19日、関係者への取材で分かった。
物流業界では、時間外労働規制の強化による人手不足など「2024年問題」が懸念され、政府が対策に取り組む中、公取委も不当な商取引への監視を強めている。
関係者によると、同社は発注を受けたオフィス用の家具の配送や設置作業を数十社の運送業者に委託していた。運転手が年度末などの繁忙期に契約上の時間を超えて働いても、定めていた料金以外を支払っていなかったという。
また、イトーキの物流拠点から家具をトラックに積み込んだり、梱包に使った段ボールを返却したりする作業を無償で行わせていたとされる。
イトーキは、未払い分の料金を全額支払う意向を示しているという。同社は取材に対し「公取委の任意の調査に協力している状況」としている。