経済安全保障上の重要な情報について、取り扱う可能性がある人の適性を国が確認する「セキュリティー・クリアランス」制度の運用が16日から始まった。初年度は公務員と民間人を合わせ数千人が対象になる見通し。職歴や渡航歴、家族構成に加え、精神疾患の通院や飲酒節度まで幅広く把握し、機密情報を漏らす恐れがないかどうかを判断する。政府の身辺調査に根強いプライバシー侵害の懸念の払拭や、調査の拒否や結果で処遇に不利益を被らない運用の徹底が欠かせない。
保全する情報の対象を経済安保分野にも広げる新法「重要経済安保情報保護・活用法」の同日施行を受け、適性評価も開始。漏えいには5年以下の拘禁刑などの罰則を科す。同様の制度を運用する欧米と足並みをそろえ、当局間の情報共有や民間企業の競争力強化を図る狙いがある。
政府が保全するのは、「重要経済安保情報」。先端半導体や重要なインフラなどの指定を想定している。
適性評価は対象者の同意が前提となる。ただ、職場での待遇を意識して拒否できなければ、事実上の強制措置になる恐れがある。