【カンヌ共同】ノーベル文学賞受賞者で長崎市生まれの英国人作家カズオ・イシグロさん(70)が17日、第78回カンヌ国際映画祭が開催中のフランス南部カンヌで共同通信のインタビューに応じ、被爆者ら戦争体験者の多くが亡くなる中、「体験を直接聞いてきた自身の世代に記憶の継承の責任がある」と訴えた。
イシグロさんは同映画祭に出品された、戦後復興期の長崎が舞台の映画「遠い山なみの光」(石川慶監督)の原作者。
イシグロさんは「戦争や原爆を経験した人がどんどん亡くなっていることに危機感を抱いている。戦争を直接経験していないが親から話を聞いてきたわれわれの世代が若い人に伝える責任を担わなければならない」と語った。イシグロさんの母も長崎で被爆している。
記憶の継承の在り方について「これまでは体験者の苦しみに思いをはせてきたが、それだけでは不十分だ。若い人に悲しい記憶として伝えるだけでなく、今の時代に関連付けて感じられるようにすることが大事だ」と指摘した。