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6月、最後の「洋上慰霊」へ 遺族会の戦地訪問事業が終了

2025/05/26 16:35

 洋上慰霊で海に献花する参加者=2016年3月、ミクロネシア連邦・ヤップ島沖(日本遺族会提供)

 先の大戦で親を亡くした遺族らが激戦地を訪ねて弔う「慰霊友好親善事業」(日本遺族会主催)が、遺族の高齢化を理由に、戦後80年を迎える2025年度で終了する。事業の一環として船上で行う「洋上慰霊」も今年が最後に。6月1日に神戸港を出発し、11日間の船旅で戦地となった台湾海峡やフィリピン沖などを巡り、海で亡くなった戦没者らに遺族らが祈りをささげる。

 遺族会によると、洋上慰霊には42都府県の遺族ら約220人(10~90代)が参加予定だ。連日それぞれの海域で慰霊祭を開催。戦争の記憶を後世に伝える語り部養成の研修も行う。戦艦大和や戦艦武蔵の沈没海域を航行し、フィリピン・マニラへの寄港時には、現地関係者と船上での交流を計画している。6月11日、神戸港に帰港予定だ。

 厚生労働省によると、海外戦没者の約240万人のうち約30万柱が海に眠る。日本遺族会の水落敏栄会長(82)は「事業の締めくくりとして、海で亡くなった方々にしっかりと最後の慰霊をささげたい」と話している。

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