先の大戦で親を亡くした遺族らが激戦地を訪ねて弔う「慰霊友好親善事業」(日本遺族会主催)が、遺族の高齢化を理由に、戦後80年を迎える2025年度で終了する。事業の一環として船上で行う「洋上慰霊」も今年が最後に。6月1日に神戸港を出発し、11日間の船旅で戦地となった台湾海峡やフィリピン沖などを巡り、海で亡くなった戦没者らに遺族らが祈りをささげる。
遺族会によると、洋上慰霊には42都府県の遺族ら約220人(10~90代)が参加予定だ。連日それぞれの海域で慰霊祭を開催。戦争の記憶を後世に伝える語り部養成の研修も行う。戦艦大和や戦艦武蔵の沈没海域を航行し、フィリピン・マニラへの寄港時には、現地関係者と船上での交流を計画している。6月11日、神戸港に帰港予定だ。
厚生労働省によると、海外戦没者の約240万人のうち約30万柱が海に眠る。日本遺族会の水落敏栄会長(82)は「事業の締めくくりとして、海で亡くなった方々にしっかりと最後の慰霊をささげたい」と話している。