米原子力企業ニュースケール・パワーの小型モジュール炉(SMR)事業に参画するIHIは27日、原子炉格納容器を覆う建屋の壁の試作品を横浜市磯子区の工場で報道陣に公開した。ルーマニアで進む建設計画のため、部材の設置方法の確認に利用する。
IHIは東京電力福島第1原発の原子炉圧力容器などを手がけてきたが、国内では当面、新設が見込めないのが現状。海外事業への参画は技術力の維持を図る狙いもある。
壁の試作品は建設を担当する韓国のサムスンC&Tから受注した。高さ50メートルの建屋の一部を再現した高さ6メートル、幅9メートル、厚さ1・2メートルの炭素鋼製。IHIは格納容器の開発も進めており、建屋と共に受注を目指す。2027年には製造を始めたい考えだ。長谷川恭之執行役員は「技術伝承の点からも重要な仕事だ。しっかりやって国内に戻ってきたい」と話した。
ニュースケールのSMRは出力が1基7万7千キロワットと従来型の100万キロワット級に比べて小さく、立地に応じて複数基を組み合わせる。