原子力規制委員会で核セキュリティーを担当する長崎晋也委員は27日、2021年に発覚したテロ対策不備の改善を進めている東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)を視察し、フェンスの新設状況などを確認した。終了後の取材に「しっかり対応できていると感じられた。安心した」と評価した。
柏崎刈羽原発では、社員によるIDカードの不正利用や侵入検知設備の故障が相次いで発覚し、規制委は事実上の運転禁止を命令。23年12月に解除した。
改善策として、立ち入り制限区域を縮小して管理対象者数を限定するほか、複数の生体認証を導入。長崎氏は出入りする人の本人確認をする様子や、侵入を防ぐ設備の運用状況も視察した。稲垣武之所長との意見交換では「(対策は)ハードとソフトがかみ合い機能するものだ」と指摘し、現場での意識向上に向けた取り組みも尋ねた。
柏崎刈羽原発6、7号機は17年12月に規制委の審査に合格。東電は早期再稼働を目指しており、地元同意を得られるかどうかが焦点となっている。