【ブラジリア共同】アルゼンチンの司法当局は13日、1976年に起きた軍事クーデター直前に失踪したブラジル出身の著名ピアニスト、テノーリオ・ジュニオルさんの遺体を特定した。ブラジルメディアが報じた。
テノーリオさんはボサノバ黎明期に活躍。サンバとジャズを融合させた先駆者として知られ、64年の代表作「エンバーロ」が遺作となった。謎が多く残る失踪は今も注目を集め、生涯を題材とした映画「ボサノヴァ 撃たれたピアニスト」が日本でも今年公開された。
テノーリオさんは公演のためアルゼンチンの首都ブエノスアイレスに滞在していた76年3月、ホテルから外出した後、行方不明になった。その数日後に軍事クーデターが発生し、混乱の中で失踪の真相は闇の中に。政治活動家と間違われ、軍に拘束され拷問を受けた後に射殺されたことが、その後分かった。
行方不明の数日後、空き地で見つかった射殺された男性の遺体について当局が詳しく調べたところ、指紋がテノーリオさんと一致した。