大手建材メーカー「ニチアス」の羽島工場(岐阜県羽島市)から飛散したアスベスト(石綿)が原因で、周辺地域で働いていた男性が中皮腫と診断されて死亡し、遺族が同社に損害賠償を求めた事案で、国の公害等調整委員会が同社に計2750万円の損害賠償を支払うよう命じる責任裁定を出したことが25日、代理人弁護士への取材で分かった。
弁護士によると、工場周辺への被害を巡り企業の責任が認められるのは珍しく「近隣暴露者の被害者救済へ大きな一歩だ」としている。
裁定によると、男性は1967~79年ごろ、羽島工場から300~350メートル離れたニチアスとは別企業の作業場で織物のデザインなどに従事。中皮腫にかかったと2018年に国に認定され、20年に亡くなった。