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反抗期をどう乗り越えた? “仕返しの冷やし中華”に“白米に綴る成長記録”…お弁当を通して変化した親子の関係性

07/27 11:30

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左上のカブト虫の幼虫は、息子さんが小学生の頃世話を丸投げされた時の恨みを込めて作ったという(画像提供:daridari0327さん)

 反抗期に差し掛かった子どもとの関係性は、とてもデリケートで難しいもの。そんな中、反抗期中の子どもに愛情を伝えるために母親が作った、独特なお弁当の投稿がSNSで話題になった。冷やし中華の上にカブトムシの幼虫のようなものが乗っている“嫌がらせ弁当”に、白米の上に文字を書く形で、子の生い立ちや成長記録が綴られる“成長記録のメッセージ弁当”まで弁当を通したコミュニケーションが反響を呼んでいる。日々のお弁当作りに対する想いについて、2組の母親に聞いたエピソードを、改めて振り返る。

【画像】子どもたちから大人気の“ゴキ”が乗った「カビ弁当」!息子の成長記録を綴ったお弁当も

◆息子の反応がほしかった」お弁当で思春期の息子とのコミュニケーションを図る母

 お弁当箱にぎっしりと詰められた冷やし中華麺と卵やハムなどの具材。さらに、スライスチーズの上には「冷やし中華はじめました」と手書きで書かれている。さらに注意深く見てみると、カブトムシの幼虫のようなものもある。

 これは中学3年生(取材当時)の息子さんの体育祭用のお弁当であるが、食べ終わった後の弁当箱を出さない息子さんへの仕返しとして、横川名物おぎのやの「峠の釜めし」の陶器製容器で作った“嫌がらせ弁当”。母のdaridari0327さんは、以前からさまざまな独創的なお弁当を作っている。息子さんは現在、反抗期中のため、お弁当を通してコミュニケーションを図ってきたが、最近は息子さんに「普通でお願いします」と言われてしまい、なかなか“嫌がらせ弁当”を作れずにいたという。

「今回の冷やし中華弁当は、体育祭でクラスメイトと外でお弁当を食べるということだったので、『友達も驚くようなものを作ろう!』という思いで作り上げました。以前よりも思春期が進行しているので、息子の反応がほしかったのだと思います」

 問題のカブト虫の幼虫は、息子さんが小学生の頃にカブト虫の幼虫を捕獲した際に、お世話を丸投げされたことへの恨みを込めて作ったそう。デザートのため、幼虫のボディは白玉粉に砂糖を入れて甘くしてあり、頭の茶色の部分はコーヒーと砂糖と白玉粉でできている。

「粘土細工のように、造形できる固さで水を加えて全体の形を作り、幼虫の細かなシワは竹串で筋を入れて、クッキングシートの上に乗せて、沸騰したお湯にくぐらせて作りました」

 冷やし中華弁当に対しては、「美味しいの?」とか「お前のママ、おかしいな!」などと、友達からは薄い反応が返ってきた。肝心の息子さんの感想は、「美味しかったよ!でも、しばらくは普通の弁当か金をくれ!学食に行くから」とのこと。また、幼虫デザートは「甘くて食べられたけど、あの量はキツイ」と息子さんに言われたため、すでに改善策を考えている。

「今度作るときには、幼虫をもっと小さくして、ゼリーで固めてあげようと思っています!」

◆「息子が何か得るものがあるのではないか」反抗期の息子への想いを込めた弁当作り

 一方、「あなたの成長記録」と題し、出産期から幼少期までの息子さんとのエピソードを白米の上に手紙形式で残している息子弁当さん。そこには、息子さんの出産時のこと、料理が苦手で離乳食に奮闘した時のこと、息子さんが歩行器で爆走してケガをした時のことなど、さまざまなエピソードが綴られている。

 息子さんが反抗期に差し掛かった頃には、心がえぐられるような言葉を吐かれたこともあり、「本当に傷つきましたし、傷つく言葉を吐く息子のこれからについても心配になりました」と振り返る。

 そこで、「息子が何か得るものがあるのではないか」との想いから、“成長記録のメッセージ弁当”を作るようになった。下書きを用意してからオブラートに着色料で文字を書くという手間のかかる作業ではあるが、どんな想いで息子さんを育ててきたのかを伝えるために頑張っている。

「あと、間違いながらも一生懸命することの大切さも伝えたいです。息子が親になったときに、少しでも思い出してもらえたら嬉しいと思いながら書いています」

 たまに反抗をしてくることもあるが、普段の息子さんはとても明るく、ほぼ毎日1時間くらいの会話をするほど仲が良い。そんな息子さんのために日々お弁当作りに励んでいるが、小さな文字を書き続けているので、いつまでも肩こりが治らないそう。

「だからといって、このお弁当を作るのをやめるのは嫌なので、頻繁にサボりながら書いています(笑)」

 お弁当作りはコミュニケーションのひとつであると考え、お弁当をきっかけに会話ができるかもしれないという想いもあるという。

「だからこそ、たとえ反抗中であっても、『あなたが大切だ』ということは伝えているつもりです。これからも頻繁にサボりながらではありますが、楽しくお弁当を作っていけたらいいなと思っています」

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