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【子育て応援隊】「産後のギャップ」実情を知れば備えられる

04/10 12:30

産前と産後の「ギャップ」解消の必要性を指摘する横尾さん

 子どもを産み、育てている世代を社会全体で支えていく、福島民友新聞社と福島中央テレビの連携企画「ふくしま子育て応援隊 Smile&Smile」が本年度スタートしました。この連載では、子育て世代が抱える悩みや社会への要望を毎月紹介していきます。今月着目したのは、産前と産後の「ギャップ」です。予想していた育児と現実の差に戸惑い、悩んでいる子育て世代が多いことが、郡山市の子育て支援団体「しゅふコミ」の調査で分かりました。同団体はこのギャップ解消に向け、本年度から県内19市町村で育児冊子を配布しています。団体代表の横尾恵美さんは「社会全体で対策を考えてほしい」と訴えています。

 92%が「ギャップ感じた」

 「子どもを産む前と産んだ後、子育てや生活にギャップを感じましたか?」。しゅふコミが今年3月に行った女性向けの調査で、回答した226人のうち92%が「感じた」と答えました。「こんなにギャップを感じた人がいることを社会全体で受け止め、夫や周囲の人がどんな対策ができるのか、一緒に考えてほしい。これは母親だけの問題ではありません」。横尾さんは言葉に力を込めます。

 なぜ「子育てギャップ」を感じるのか。横尾さんは、妊娠中に子育て期を見通せていないため、と指摘します。「妊娠中は産むことが『ゴール』。周囲がいたわってくれますが、産んだ瞬間、体がつらくて動けなくても子どもの世話が始まります。その変化がつらい、という声もあります。産前と産後が分断されていて産後のことを知る機会がないために、女性はギャップを感じるのではないでしょうか」

 自身は妊娠後、夫は特に変化がない中で自分だけおなかが大きくなり、ごみ出しにすら行けない生活に。「自分が無力で何もできなくなった」と以前との違いを感じ、それが「最もつらかった」と振り返ります。「子育てをする、仕事をどうする、大丈夫かな、不安だ」と悩む気持ちが、なかなか夫に伝わらなかったそう。「当たり前のように、『自分で選んで産んだ』と思われ、私が決心して一生懸命やっていることは加味してもらえない。お乳が出て、女性の宿命を急に負わされたような重圧を感じました」と話します。

 働く側と職場も認識の違いある

 横尾さんの周りには、家事育児を担っている妻がたまに夫にSOSを出してもすんなりと聞き入れてくれない、家事育児を任された妻が限界に達し夫に泣いて協力を訴えようやく変化したなど、産後に夫婦がすれ違う「産後クライシス」をはじめ、さまざまな子育て世代の悩みが集まってきます。

 そこから感じたのは、産前からの支援の大切さでした。本年度から19市町村で配布している「パパとママの子育てバイブル」では「一緒に考えて、寄り添ってほしい」と男性に呼びかけるだけでなく、産前の夫婦に向け「子育てのリアルを知っておけば備えることができる」「マタニティー期の今こそ、パパとママがゆっくり話ができる時期」など、産後の子育てを「知る」ことを促しています。「夫婦で産後のことを知って、さまざまなギャップを少なくしておけば、産後の夫婦間のずれを軽減できる。まず知って、『自分ごと』にすることが大事」と横尾さん。しゅふコミは妊娠期の人を支えるイベントを来月から定期開催し、産前からの支援を強化していく計画です。

 「子育てギャップ」解消の必要性を、横尾さんは職場にも求めています。例えば、子どもが具合が悪い場合に親の早退や欠勤を認めている職場でも、実際に子育て中の女性が休むと「そんなに休むとは思っていなかった」と態度が変わるのは、働く側と職場で休む頻度のイメージに乖離(かいり)があるためです。「職場でのギャップが少しでも縮まって子育て世代が働きやすくなってほしい」と、横尾さんは職場での「子育てバイブル」の普及も願っています。

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しゅふコミが本年度から19市町村で配布している「パパとママの子育てバイブル」

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