石川町発注の公共工事の入札を巡る贈収賄事件などを受け、前町長の辞職に伴う石川町長選は30日、投票が行われ、即日開票の結果、新人で前副町長の首藤剛太郎氏(59)=無所属=が6362票を獲得し、新人の会社経営高橋翔氏(36)=諸派、郡山市=に5941票差をつけて初当選を果たした。任期は30日から4年。
前町長らによる官製談合・贈収賄事件で失墜した信頼の回復を最大の争点に、人口減少対策や産業振興などについて選挙戦を繰り広げた。首藤氏は入札制度の見直しや入札監視体制の構築といった官製談合の再発防止策を掲げたほか、子どもたちへのより良い環境の提供、観光や物産の振興なども訴えて支持を集めた。
投票率は58.61%で、2022年の前回を11.37ポイント下回り過去最低。当日有権者数は1万1901人(男性5889人、女性6012人)。当選証書付与式は1日、町役場で行われる。
◇石川町長選開票結果(選管最終、敬称略)
当6,362 首藤剛太郎 59 無新
421 高橋 翔 36 諸新
短期決戦、支持広げる
前町長らの汚職事件で揺れる町政の早期立て直しが争点となった石川町長選。有権者は行政経験豊かな前副町長の首藤剛太郎氏に新たなかじ取り役を託した。
前町長は5月中旬に辞職。郡山市の会社経営高橋翔氏がいち早く名乗りを上げると、元県議や同市の団体役員も相次いで出馬に意欲を示した。対抗軸として町議会内を中心に首藤氏を推す動きが強まる中、元県議らは出馬を断念した。
首藤氏は6月議会の閉会を受け、立候補を表明。告示まで10日余りの短期間で町議や地元住民らの後押しにより準備を急いだ。選挙期間中は30カ所以上で街頭演説し、支持拡大を図った。
高橋氏は「脱談合・脱贈収賄」を掲げて動画投稿サイトなどで考えを発信したが、浸透し切れなかった。
3度繰り返された町長の逮捕が町民に与えた不信感は大きい。混乱を速やかに収め、公正な町政運営を実現できるのか。首藤氏の強いリーダーシップが問われる。(石川支局・秋山敬祐)