福島県西郷村の石川禾奈子(かなこ)さん(8)=白河二小3年=は国家資格「第2種電気工事士」に合格した。電気関係の工事などを手がける東陽電気工事(西郷村)を経営する母格子(のりこ)さん(41)や社員への憧れをきっかけに勉強を始め、工業高の生徒や多くの社会人が受験する資格試験をわずか8歳で突破した。
試験は年2回行われ、毎年10万人以上が受験を申し込む。昨年度は約6万7千人が合格した。試験を実施する電気技術者試験センター(東京都)は最年少の合格記録を公表していないが、格子さんによると、第2種電気工事士に小学生が合格するのは珍しいという。
石川さんはよく母の職場を訪れ、仕事に取り組む母や現場で汗を流す社員の姿を見ていた。「自分もやってみたい」という意思を受け取った格子さんが受験を薦めたという。
勉強をスタートしてまず壁となったのは漢字だ。学科試験には習っていない漢字ばかりが並ぶが、家族や社員に過去の試験問題を読み上げてもらい、知識を積み上げた。ただ小学生には簡単な問題はなく、初めて受験した2年生の時から2回連続で不合格を経験。3度目の挑戦で学科試験を突破した。
次に挑んだのが技能試験だ。指定された図面通りに配線できるかなどが問われる。学科試験と同じように家族や社員のサポートを受けながら、技能を身に付けていった。
工具を扱う筋力も必要なため、登下校中や休み時間はハンドグリップを握り、握力を鍛えるという努力も積み重ねた。技能試験は1回目の受験で合格。今年8月に見事、資格を取得した。
小学生で成し遂げた快挙を経て、石川さんは「第1種電気工事士も取り、会社を継いでお母さんのような社長になりたい」と夢を膨らませている。
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電気工事士 第2種は一般住宅や小規模店舗などの電気工事に従事できる資格。年齢や学歴、実務経験などの受験資格はなく、誰でも受験できる。上級資格の第1種は、第2種の範囲に加えて、マンションやビルなど大規模建物での工事に従事することが可能となる。ただし、免状取得には合格後に3年以上の実務経験が必要となる。