福島県は20日、二本松市の認可外保育施設「杉の子保育園」に対し、保育士が適切に配置されていないなど6項目で改善勧告したものの、改善が認められなかったと発表した。同園の副園長は同日、福島民友新聞社の取材に「閉園する考えだ」と明かした。
県などによると、児童福祉法に基づく改善勧告後、施設名を公表するのは県内初。県は今後、弁明の機会を設けた上で県社会福祉審議会の意見を踏まえ、事業停止や施設閉鎖の命令手続きも視野に入れる。
県によると、4月から保育士資格を持たない職員のみで保育していることが7月の運営状況報告書で判明。7月30日に立ち入り調査を実施し、8月9日付で6項目で改善勧告した。求めたのは保育士の配置のほか、保育安全計画を策定して周知することなど。県は9月30日に特別立ち入り調査や今月11日に現地確認した。しかし、保育士資格を持たない職員で保育する時間帯を確認したことなどから、公表に踏み切った。
県は関係自治体と連携し、利用園児2人が適切な援助を受けられるように調整するほか、同園の利用を控えるように周知する。県は「子どもの安全、安心を考えて公表した。基準はしっかりと満たしてほしい」(子育て支援課)とした。
同園の副園長は20日、取材に「ずさんな運営をしてきたことは謝罪したい」としたが、「書類を訂正し提出しようとしていた際の公表で大変遺憾だ」と県の対応に不満を示した。
副園長は続けて「勧告に従い、9月から保育士2人をパート採用し、勤務時間の関係で3人目を探していた。1週間40時間以内の勤務時間を巡り県と認識のずれがあった。もう少し早く言ってほしかった」と話した。