政府の復興政策を検証する有識者の作業部会は8日、東京電力福島第1原発事故の被災地に特化した政策の効果や課題を把握する作業に着手した。避難指示が出た12市町村の復興の進展状況は異なるため課題などに関する議論に時間を要するとの認識で一致し、当初は今秋ごろを目標とした政府に対する報告の取りまとめ時期は2025年以降となる見通し。
作業部会の会合は非公開。復興庁によると、委員からは避難指示解除の時期により12市町村の人口や経済回復の動きは異なるとして「地域ごとの(復興状況の)違いを踏まえて(必要となる)施策の検討が必要」との意見が出た。今後の人口減少を見据え、市町村の垣根を越えた広域連携や将来的に自立して復興に取り組むための在り方、帰還した住民と移住者のコミュニティー形成の仕組みづくりなどの必要性についても言及があったという。
会合では内堀雅雄知事が帰還困難区域や農林水産業の再生、風評の影響などの課題を説明、第2期復興・創生期間(21~25年度)終了後も復興を進めるために十分な財源と制度の確保を訴えた。
作業部会は今後、おおむね月1回の頻度で原発事故の被災地で展開された政策に関する会合を開く。9月以降に本県を視察する方向で調整し、市町村長や住民らの意見も踏まえ、中長期にわたり必要となる政策などを検討する。作業部会が取りまとめる報告は「第2期後」の政府の復興方針に反映される見通し。