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【震災13年5カ月】「服と思い出」仕立て直す ひなた工房双葉

08/11 11:25

衣料品再生事業などを手がける双葉町の「ひなた工房双葉」

 震災と原発事故後、浜通りでは新たな企業の進出に加え、避難後に再び古里に戻って再起する企業など産業復興の動きが進んでいる。国や県はイノベーション・コースト構想を掲げ、医療や廃炉などさまざまな分野の産業集積を図る。ただ産業復興に伴う地元への効果・恩恵は道半ばで、国や県の試行錯誤は続く。

          ◇

 アパレルメーカーのフレックスジャパン(長野県千曲市)が昨年7月に双葉町にオープンさせた衣料品再生のための縫製工房「ひなた工房双葉」。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの再生が進む双葉を拠点に「思い出の再生と創出」をテーマにものづくりを進めている。

 工房では衣料品のリメークなどの衣料品再生事業をはじめ、オーダーシャツ生産の拠点として縫製業務や店舗運営を行っている。多くの人々は「もう着られないけれど捨てられない」思い出の服を所有している。同社が大切にしたいのは衣料品を直すだけでなく、その衣料品にまつわる思い出や価値を大切にすることだ。

 衣料品再生事業では学生服やジャケットなど思い出の服をぬいぐるみの服に仕立て直す「ぬい服」など、元通りにするのではなく、新しい形へと生まれ変わらせる事業も展開する。それは震災と原発事故で全町避難を経験した町が、新しい町へと生まれ変わる姿にも重ね合わせている。

 工房責任者の田中洋平さん(41)は「衣料品再生事業を通じて思いをつなぐだけでなく、心の癒やしを届けていきたい」と話している。


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