福島の旬の食材を使ってフランス料理の魅力を広めたい―。東京都内の一流店でシェフを務めていた菅野健一さん(44)=伊達市霊山町出身=は23日、福島市のJR福島駅西口近くにフランス料理店「La Maison de Kanno Humble(ラ・メゾン・カンノ アンブル)」をオープンさせる。Uターンした菅野さんは「一軒の店が福島に新たな風を吹かせることができたら」と胸を膨らませる。
菅野さんは大学進学を機に上京。一般企業に就職したが、仕事に魅力を感じられずに退職し「人生は一度きり」と、26歳でもともと好きだった料理の世界に飛び込んだ。
横浜市の飲食店や東京・表参道や銀座のフランス料理店で腕を磨いてきた菅野さんは「いつか古里に自分の店を持ちたい」との思いも抱えていた。12年間勤めた店の移転が決まったことをきっかけに、開業のために昨年3月に帰郷した。
念願だった店を構え、福島の食材を生かした逸品を提供しようと腕を鳴らす。これまで鶏卵や羊肉、ラズベリーなど県内の生産者の元に足を運び、自らの目と舌で質を確かめてきた。店で食べた食材の魅力を客がさらに発信するという好循環に期待する。福島駅前は再開発事業が難航していることもあり、新規出店で中心部の活性化にも貢献したい考えだ。
店名の「アンブル」はフランス語で「謙虚」という意味を持つ。「お客さんや食材、生産者に謙虚でありたい」。新天地で実直に一皿と向き合う。(多勢ひかる)
全コース予約制
アンブルの住所は福島市太田町4の8。全コース予約制。昼は2980円(平日女性限定)から、夜は7700円からのコースがある。営業時間は午前11時半~午後3時、午後6時~同10時半。定休日は毎週水曜日と第4火曜日だが、9月中は毎日営業する。予約、問い合わせは同店(電話024・529・5783)へ。