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亡き娘へ「家族再生」の旅館 ベトナム出身・ハオさん、岳温泉で開業

09/26 08:25

亡き娘の夢の実現のため、念願の温泉旅館をオープンしたハオさん
レェ・ティ・ニャット・リンさん(当時9歳)

 千葉県で2017年に起きた事件で犠牲になったベトナム国籍のレェ・ティ・ニャット・リンさん=当時(9)=の遺族が二本松市岳温泉にある廃旅館を改修し、念願だった温泉旅館「RBホテル岳温泉」を開業した。旅館名のRBは英語の「Rebirth(再生、復活)」の意味で、最愛の娘を失った自分たち家族の再生と福島復興の願いを込めた。

 「日本との懸け橋」生前の夢実現

 「日本とベトナムの懸け橋になりたい」。生前に娘が語っていた夢をかなえるため、昨年6月のベトナム料理店に続き、温泉旅館もオープンさせたリンさんの父ハオさん(42)は「旅館を通して地元の人とベトナムからの訪日客の交流の場になればうれしい」と期待を寄せている。

 ハオさんは「いつか日本の友達にベトナム料理を作ってあげたい」と語っていた娘の夢を実現したいと、21年に千葉県松戸市にベトナム料理店を開業した。新型コロナウイルス禍で経営に思い悩む中、心機一転を図ろうと22年秋に岳温泉の廃旅館を取得し、昨年6月に旅館1階にベトナム料理店「ハオ・グェン・ショップ」を移転オープンした。その後、旅館の営業に必要な許可の取得や建物の改修を進め、今月12日に開業にこぎ着けた。旅館は木造2階建てで、客室は約20室。天然温泉を引いた露天風呂と大浴場が自慢だ。

 妻グェンさん(38)ら一家5人で岳温泉に移住したハオさんは「冬は寒いけれど、自然豊かで本当にいいところ」と岳温泉の魅力を語る。「温泉ときれいな雪を見たら、ベトナムの人たちもきっと楽しんでもらえるはず」と期待する。

 「リンちゃんも、きっと喜んでくれているはず。いつかリンちゃんの友達が泊まりに来てくれたらうれしい」。亡き娘に今後の旅館業と料理店のさらなる繁盛を誓った。(飯野大輔)

 宿泊料は1泊2食付きで9900円から。日帰り入浴(大人600円)もできる。問い合わせはRBホテル岳温泉(電話0243・24・8712)へ。

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