福島県内景気判断据え置き 10月日銀概況、賃上げ影響限定的

10/17 08:00

 日銀福島支店は16日発表した10月分の県金融経済概況で、県内の総括判断について5カ月連続で「緩やかな持ち直しを続けているものの、ペースは鈍化している」とし、判断を据え置いた。物価高が続き、賃上げによる好影響は限定的で、強まる節約志向から消費に慎重な動きが見られる。

 個人消費は、天候不順に影響された7月に反発し、8月は前年比0.2%増と横ばい圏内の動き。ドラッグストアの売り上げは堅調だが、百貨店やスーパー、コンビニなどは前年割れを続けている。昨年ほどの猛暑とはならず、季節性商品の売り上げが伸び悩んだことや、台風接近による人流減少が回復を妨げた。

 コメ不足の懸念が広がった影響で、8月もコメの単価は上昇、販売数量も増加した。消費者の購入動向として10キロ以上の大袋から2キロや5キロなど小分け袋に需要が転換している。

 生産動向は、海外経済減速の影響が和らぎ、持ち直しの動きが見られている。生成人工知能(AI)関連の注文を受け、電子部品やデバイス、機械部品の増産も期待される。

 福島市の8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年比2.4%増だった。光熱費や水道費などでプラス幅が拡大したほか、人件費の増加を背景にサービス価格は緩やかに上昇している。福島支店で記者会見した中嶋基晴支店長は「10月は価格改定が行われる傾向があり、最低賃金も引き上げられた。今後、サービス価格にどう反映されるかを注視していく」との認識を示した。

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