「ぐりとぐら」作家・中川李枝子さん死去 県外在住功労者表彰を受賞

10/18 08:30

子ども時代の本県での思い出を語る中川さん=2007年、福島市

 絵本「ぐりとぐら」シリーズなどで知られる児童文学作家の中川李枝子(なかがわ・りえこ)さんが14日未明、老衰のため東京都の病院で死去した。89歳。札幌市出身。葬儀は家族で行う。喪主は長男画太(かくた)さん。

 アニメ映画「となりのトトロ」のオープニングの歌「さんぽ」の作詞も手がけた。中川さんは、父親の仕事の関係で46年に福島市に転居し、小学5年から6年間を過ごした。2013年に県外在住功労者知事表彰を受賞している。

 【悼む】作品、子どもと真剣勝負

 「ぐりとぐら」シリーズや「いやいやえん」など多くの名作で子どもたちを楽しませた。

 いわき市立美術館のぐりとぐら展(2015年)では、講演依頼を「大丈夫よ、任せてちょうだい!」と快諾。学芸員の江尻英貴さん(47)は「とても元気な方でした」と振り返る。

 子どもを夢中にさせる話を、と保育士時代に書き始めたのが原点。交流のあった郡山市の絵本専門店福島こどものとも社の社長、上野良一さん(59)は「子どもを見る視点が独特。読み継がれているのは、こびずに、子どもとの真剣勝負から作品を生み出していたからこそ。希有な存在でした」と惜しむ。

 子どもがやりたい放題の「いやいやえん」に影響を受けた宮崎駿さんから依頼されたのが、映画「となりのトトロ」の歌「さんぽ」の歌詞。子ども時代を過ごした自然豊かな福島市での思い出も歌詞のもととなった。震災後は本県の子どもを心配し「すくすくと育ってほしいと話していた」と上野さん。「中川さんが生み出した豊かな言葉の世界が受け継がれていってほしい」と願った。(深谷宏子)

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